shishouの独り呟き

アラフィフ、独身、派遣社員。薄給なのに趣味は金のかかるものばかり。そんな女の日常です。

八月納涼歌舞伎第三部「野田版桜の森の満開の下」

まだ昨日の舞台の余韻が残っているうちに感想を。

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これまでDVDで何度も拝見した野田版歌舞伎。
いつかリアルで観たいな、ってずっと思ってました。でも勘三郎さんも亡くなられたし、しばらくないかなと思っていたら、何と今年の納涼歌舞伎で上演すると言うではないですか。
これは観に行かねば、と言うことで、昨年に引き続き今年も真夏に東京へ参上しました。

昨日も書きましたが、歌舞伎と言うよりどちらかと言うと野田さんの舞台に近い舞台セットや演者の雰囲気でした。
それでも、随所に歌舞伎らしさも感じられたし、勘九郎さん七之助さん始め、出演者のエネルギーをビンビン感じられました。

観劇前に「シアターガイド」で野田さんと中村屋兄弟の対談が載っていて、そこで稽古が大変だとお二人が言ってたので、きっといい舞台になると確信してましたが、想像以上でした。

勘九郎さんの耳男は、運命に翻弄されながらも忠実に生きる、いかにもらしい役。こういう熱い役はハマります。
そして、所々勘三郎さんが乗り移っていたような(笑)本当に年々、面影が濃く感じられてきます。
多分空の上で、羨ましがってる(悔しがってる)のではないでしょうか??

七之助さんの夜長姫は、一言で言うと残酷なお姫さま。
でも残酷だけど美しい。
こう言う役が出来るようになったなんて、彼も役の幅が大きくなったなと(野田さんと勘九郎さん曰く七之助さんはその気があるとか😅)。
最期は可哀想だったけど、本当は耳男を愛していたのかなと。ただ表現の仕方が変わってるだけで。

この舞台の嬉しかった所は、納涼歌舞伎の常連メンバーが主要な役を連ねていたこと。
プラス猿弥さん、梅枝さんと納涼歌舞伎ではあまり馴染みではないけど、中村屋の舞台によく出てる役者さんが良かった。
このお二人は、この舞台のいいスパイスになっていました。
マナコ役猿弥さんは、まさに大奮闘。
勘九郎さん、染五郎さんと堂々と対峙してました。
あの巨体(失礼)なのに、身の動きの良さは相変わらず。一見悪そうだけど、実はいい奴ぶりを存分に出してました。
早寝姫梅枝さんも今回大抜擢ですよねー。
元々女形として好きな役者さんの一人ですが、七之助さんと並ぶともう美しすぎる2ショットで✨
役作りはかなり苦労されたそうですが、それを微塵も感じない演技でしたよ。

扇雀さん(ヒダの王)はもう野田作品には欠かせない存在です。
恐らく今のメンバーの中で一番経験を積んでるだけあって、さすがの存在感でした。本当どんなお役も器用にこなされますよね。
更に彌十郎さん片岡亀蔵さんらがいつものように脇を固め、更に巳之助くん新悟くん虎太郎くん虎之助くんら若手も奮闘してました。
ベテラン中堅若手がバランスよく、それぞれが個性を上手く出してました。さすが野田さん。

そしてこの人を忘れてはいけないオオアマ役の染五郎さん。
一見堅気そうに見えるけど実は…と言う訳ありなお役。
でも、何故かこの人だけは新感線テイストが感じられた💦
まぁ中村屋兄弟より稽古の期間が短く(先月大阪で舞台あったしね)、仕方がない部分もあるのかもしれないけどね。所々「阿弖流為」の匂いが。
それでも現代版歌舞伎はこの方の真骨頂。
本当にサラッとセリフに笑いを入れたり、飄々としてたかと思えば、一気に重厚な雰囲気になったり、変貌自在ぶりはあっぱれ。
私にとっては最後の生染五郎の舞台。
大いに堪能させてもらいました。
次は幸四郎さんなんだよね(しみじみ)。

ストーリーは、確かに難解な部分はあるけど、それも含めて野田歌舞伎。
舞台の美しさ、役者たちの一生懸命さなど雰囲気を充分に味わえれば、あとはサラッとストーリーを追っていけばいいのです。
思っていたよりすんなり舞台に入っていけたし、野田歌舞伎の醍醐味は味わえたと思います。

前方(前から5列目)だったので役者さんの表情がよく分かって良かった一方、右端から2番目だったので舞台の左半分が見づらい場面もあり、花道も遠かったです😓贅沢は言えないけどね。
真夏の桜を存分に味わえました。シアターガイドでも仰ってたけど、秋冬春と来たので次は夏ですね。野田さん、宜しくお願いします😌

追伸
中村福之助君のブログ見てたら、昨日歌舞伎座に観に来てたんだって。観に行ったの、何部だったんだろう??
今年は襲名公演でお忙しいからか、芝翫さん親子は納涼歌舞伎に出てませんが、来年以降また出演して下さいね😉