shishouの独り呟き

40代、独身、派遣社員。薄給なのに趣味は金のかかるものばかり。そんな女の日常です。

おはようございます

9連休もいよいよラスト。
何をしていたと言うわけではないけど、あっという間に過ぎ去りました。
まぁ、そろそろ働かないと本当にヤバイので(色んな意味で)、GW明けはしばらく頑張って働くつもりです。

昨日、思うことについて書きたい、と言ってたこと。
それは、歌舞伎について。
GW中に、DVDの整理をしていました。
そこで、私が好きになる前の頃の歌舞伎をいくつか拝見する機会があったのですが、今の歌舞伎に比べて何て俳優さんたちが生き生きしているか、と感じました。

もちろん、今の役者さんたちも頑張ってます。
でも、こう言う言い方は失礼ですが、役者さんたちが生き生きしていない。
なんと言うか、どこか窮屈さを感じるような。自由ではあるけど、自由らしさを感じないと言うのでしょうか。

最近、新作歌舞伎が多いです。
多少ならやむを得ないし、色々複雑なな事情があるのも分かります。
でも…そのせいで本来の古典歌舞伎が疎かになっている。
どこもかしこも新作歌舞伎、では、普通の劇団新幹線のような舞台と変わりません。

若い人に取っ掛かりが持てるように、新作に取り組む気持ちも分かります。
でも、やはり古典ありきだと思うのです。

これは興行元の松竹にも責任があります。
歌舞伎座の興業は、大御所若しくはその一座が優先されてます。
なので、そうではない役者さんは他の興業が多くなる。あの海老蔵さんさえも、歌舞伎座の興業が少ないですし。今月の團菊祭、あと7月位では。
歌舞伎座では新作を演じられる機会はあまりありません。
8月の納涼歌舞伎位ですか。
昨年、秋に「マハーバータラ戦記」を興業しましたが、これは珍しいケースです。
つまり、歌舞伎公演にどの役者さんも均等に出して、古典を演じてもらいたいのです。

新作歌舞伎でも、ある程度歌舞伎をベースにしたものならまだいいのですが、最近は大きく外れています。ワンピース歌舞伎がそのいい例です。
ただ、澤瀉屋の場合は過去に何度もスーパー歌舞伎など興行して、元々その傾向のある歌舞伎が多いですし、猿之助さんはその一方で古典にも果敢に取り組んでますので、それはそれでありでしょう。

でも、他の所も「澤瀉屋」化しているのが、今の歌舞伎。これではいけません。
歌舞伎役者は古典があってこそ。
なのに、それを大きく逸脱しては歌舞伎の先が思いやられます。

中村勘三郎さんは生前、果敢な取り組みで歌舞伎界に新しい風を入れました。
しかしご本人は常に、古典ありきと古典にも力を入れていました。
勘三郎さんが演じた新作は、確かにハチャメチャ感はありますが、そんなに大きく逸脱してる訳ではありません。
その一方で、古典ものに関しては真摯に演じられていて、メリハリを感じられました。特に舞踊ものに関しては素晴らしいものがあります。

今の歌舞伎界で、それが出来てる役者さんは、現時点では海老蔵さんと猿之助さんのお二人かなと。
昨年7月、このお二人メインで興行しましたが、チケットは即売だったし(これに関しては、勸玄くんの舞台出演が大きいですが、カンカン不在でも即売とまではいかなくても完売していると思う)。
現にこのお二人の公演は地方公演でもチケット取りづらいですし、これからの歌舞伎界を支えるキーマンになるのは間違いありません。

一方、中村屋のお二人は。
最近、本当に新作以外で見かける機会が少なく、あっても数少ない当り役を繰返し演じているだけ。
例えば、勘九郎さんの襲名公演で演じた「土蜘」。
これはこれからの彼の新しい旅立ちにはぴったりの演目だったと思われます。
「春鏡鏡獅子」が中村屋の大切にしている演目の一方、縁のないこの演目を持ってきた勘九郎さんの覚悟のようなものが伝わってきました。

恐らく、勘三郎さんが生きていらっしゃれば、勘九郎さんは古典での初役を次々と演じることが出来たでしょうし、歌舞伎座の興業にももう少し出られた筈です。
ところが、今は歌舞伎座での出演は少なく、古典での大役も然り。
ここ数年の勘九郎さんの舞台に新鮮味が感じられなくなってきた自分がいます。

ずーっと「夏祭浪花鑑」の団七が見たいと思ってるのですが、そろそろ年齢的にも演じていい頃なのに、そんな気配が感じられません。
この作品は、数年前勘三郎さんが突発性難聴で舞台から離れた時、代役で演じられました。
結構酷評もあったようですが、私はとても感動しました。
確かにお父様ほどの存在感はないものの、それでも一生懸命に演じられた姿に感動したものです。
それからかなりの年数が経ちましたが、未だに全くその気配が見えないのは残念です。

七之助さんはそれに比べるとまだ他の座組の出演もあり、しかも同世代の女形の役者さん(猿之助さん&菊之助さん)が立役を演じる機会が増えた事もあり、恵まれているのかな。
今年は、勘九郎さんが大河ドラマの撮影でほとんど歌舞伎の舞台に出ない事もあり、もうすぐ始まるコクーン歌舞伎では「切られの与三」で初めて主演を演じます。
これはとても意外でした。
まぁ女形が主の舞台は少ないですし、やむを得ない部分はあるけどね。
相手役が七之助さんの次世代の女形の役者さんの中村梅枝くんと言うのも面白い。
ある意味、猿之助さんや菊之助さんよりも年代は梅枝くんの方が近いですし、恐らくこれからはこの二人が今の花形役者さんたちの相手役になる事が多くなると思われるので、この共演は楽しみです。

ただ…今のところ分かっている七之助さんの出演予定は、6月の平成中村座の海外公演と、秋の獅童さんとの海外公演のみ。多分8月の納涼歌舞伎も出演されるでしょうし、それ以外でどの座組に出るのか興味があります。これまであまり共演のない役者さんたちと出て欲しい。個人的には海老蔵さんの相手役で一度出て欲しいかな。

私自身が中村屋に思い入れているから、余計に物足りなく感じるのでしょうが、彼らがこれから歌舞伎でどういう立ち位置になるのか、それによってこれから歌舞伎に対する見方が変わってくると思います。

あと、その下の世代も心配。
と言うのも、新作に偏ってる役者がいるので。
若い時期だからこそ古典に取り組まなくてはならないのに、少し心配です。
前出の中村梅枝くんは、自分は古典を主に演じてきたので新作では戸惑うことが多いと言ってましたが、まず古典で足元を固めてから、新作に取り組むのが本来の姿だと思うのです。
ところが、まだそこまでたどり着いていないのに、新作で頭角を出している役者さんもいます。
難しいところですが、若い役者だから余計に足元はしっかり固めておくべきなのでは、と老婆心ながら思うのです。

中には松本白鸚幸四郎親子のように、新作(歌舞伎以外の舞台も含む)と古典を器用に演じ分けてる役者もいます。けど、彼らも決して古典を疎かにしている訳ではなく、例えば勧進帳の弁慶役をとても大切になさってます。
恐らく染五郎くんにも、古典で足元を固めて行くようにされると思うし、そうであって欲しいです。
彼は多分、今の子供たち世代の先頭を立つ役者になると思うし、余計にそう願います。

かつては見たい演目ばかりで悩んだ時期が嘘のように、すっかりそれが少なくなった今日この頃。
私自身の意識が変わったのも大きいと思いますが、勘九郎さんが歌舞伎に戻ってくるまで、改めて見極めたいと思っています。