shishouの独り呟き

アラフィフ、独身、派遣社員。薄給なのに趣味は金のかかるものばかり。そんな女の日常です。

舞台「ニンゲン御破算」

今回暑い最中大阪に出向いたのは、この舞台を見るためでした。

この作品は、15年前に松尾スズキさんが中村勘三郎さん(当時5代目勘九郎さん)の為に書き下ろしたものです。
それを今年、阿部サダヲさん主演で再演されるとの事。
好きな時代ものですし、「髑髏城の七人season鳥」で軽快な殺陣を披露したサダヲさんですから、期待しない訳ではないじゃないですか。

舞台好きな方はご存じかと思われますが、スズキさんサダヲさんが所属する劇団「大人計画」は、実力のある個性的な面々が個性的(コメデイ+お下劣系が多いかな)な作品でお芝居をされます。が、今回は意外と真面目路線でした。まぁ元々が演技力のある面々なので、それはそれで様になってました。その一方、随所に「らしさ」もあり、充分に楽しめて、時間がたつのがあっという間の作品でした。

侍なのに歌舞伎の戯曲作家を目指す主人公の実之介は阿部サダヲさん。
現実と戯曲の話がごっちゃになって、ややこしいながらも器用に役を演じられるあたりはさすが。
動きも軽く、殺陣を含めて所々に髑髏城の捨之介を思わせました。
決して2枚目ではないけど、どこか憎めず、魅せる所はビシッと魅せてくれました。
この人、終盤の方で思いもよらぬ展開があるのですが、波乱万丈で破天荒な人生を送るのです。それでも楽しそうで、時折どこか寂しそうで、なかなか魅力的なキャラでしたよ。私自身勘三郎さんの実之介が見たくなったし、勘三郎さんと比べられるのは仕方がないと思うのですが、阿部さんでも充分に魅力的なでしたよ。
これ、出来れば当代の勘九郎さんにもやって欲しい。

その実之介と共に闘うマタギ者の兄弟が、荒川良々さんと岡田将生くん。
良々さん、最高でした😆
背が高く体格がいいので、立っているだけでも絵になるし、とにかく喋りや動きが面白く、目が離せない。
体と見た目と喋りが、合ってるようでアンバランスと言う、面白い役者さんです。でもとってもいい味出てましたし、岡田くんとの兄弟関係もバッチリ。
最後の歌舞伎の設えのシーンも合ってた。

今回いい意味で期待を裏切ってくれたのは岡田将生くん。
俳優さんとして悪くはないけど、特に目立った感じもないと言うのがこれまでのイメージだったけど、結構ハチャメチャ感のある大人計画の舞台であそこまでやってくれるとは。
ビジュアル的にはもちろん、殺陣のシーンがさまになってたし、着物姿も若手俳優さんにありがちな着物に着られてる感がなく、よく似合ってました。
最後の女形はさすがに慣れてないからかちょっと、でしたが(笑)

その二人の幼馴染み役が多部未華子さん。
かわいいし、顔ちっちゃい。
声もよく通り、こちらも大人計画の面々相手に遜色なく好演していました。
今回主な女性の役者が少ないのもあって、多部ちゃんのかわいさが際立ってましたし、岡田くんとのコンビは、あのメンツの中では絵になる(笑)

そして、他の大人計画の面々。
ほぼ主要な方々が出演されてたかな??
私は「あまちゃん」で覚えた人が何人かいますが、それ以外はあまりよく分からない💧💧
今回はあまりいつものような個性的な作品ではなかったものの、やはり舞台役者さん、見せるところは見せてくれます。素晴らしい。

舞台に水(歌舞伎風に言うと本水?)の装置があり、飛び込んだりかけたり飲んだりなど様々な趣向が凝らしてありました。
音楽は和洋折衷。最近歌舞伎の新作でも洋楽器を取り入れる事が多くなりましたが、舞台に合っていればどちらでもOKです。
それにしても音楽と舞台の展開がピタッと合っていて、それが凄いなと思います。

あと、勘三郎さんに充てた作品と言うことで歌舞伎的な要素も所々にちりばめてあって、役者さんたちも大変だったろうなと思います。歌舞伎の所作ってそう簡単に身に付く訳ではないし。
多分そのあたりは今回多少調整したでしょうが。

そう言う意味では、阿部さんが「髑髏城」で捨之助を演じたのは大きいと思います。
いのうえさんの作品って結構歌舞伎的な要素が入ってますし、恐らくそこで叩き込まれて来た筈ですし。しかもあの時、森山未來&早乙女太一と言う、とんでもなく殺陣の上手い二人相手だったからね💧
松尾さんもそこを見込んでいたようですし。

さっきも書いたけど、今度勘九郎さんでやって欲しいなぁ。15年後はさすがに厳しいかもしれないけど、10年後位に。歌舞伎でやってもいいし、大人計画でやってもいいし、なんなら合同でもいいし。

テンポが早く、終演があっという間でした。
昨日千秋楽だったそうです。
役者の皆さん、お疲れ様でした😌
またいつか生で大人計画の舞台が見れたらいいなと思ってます。

追伸
星野源さん、いらっしゃいますよね。
この方、今も大人計画所属らしいです。
以前はよく舞台に出ていたようです。