shishouの独り呟き

アラフィフ、独身、派遣社員。薄給なのに趣味は金のかかるものばかり。そんな女の日常です。

読書の秋にこそ、オススメします📕

昨日、最後まで読みました。
途中、何だか泣けてきて、そして介護の現実がリアルに伝わってきました。

阿川佐和子さんの著書「ことことこーこ」。
これは、痴呆が始まった母ことこさんと、その娘こーこさんの、介護にまつわるお話です。
確か阿川さんご自身も親御さんの介護をされた経験があるからだと思われますが、かなりリアルに介護の現状が伝わってきました。

正直言って、これまで現実をリアルに感じるのが嫌で、介護ものの本は避けてきたのです。
私自身はまだ介護の経験はないけど、近い将来避けては通れない立場です。
なので、この本のこーこさんのように、親が認知症になったりボケたりするのを認めたくない気持ちはよーく分かります。
それだけまだ、本当の介護の大変さや壮絶さが分からないし、分かりたくないからです。

でも私自身来年50になり、そろそろ現実になってもおかしくない状況です。
母も再来年には80になりますし、そうなると両親とも80歳を超えます。

我が家は両親とも比較的長寿の家系で、父の兄弟(6人)は全員80過ぎまで生きて、90代の伯父伯母が一人ずつまだ健在です(共に施設に入居してますが、元気なよう)。
母の兄弟(6人)も、80半ばの伯母を筆頭に女4人は全員元気。
母方の一番上の伯父は若くして亡くなっており、もう一人の伯父は現在入院中(こちらも80代)。
母方の祖父は80代で、祖母は94で亡くなってます。

なので、多分父も母も長生きするのは間違いありません。
ただ、父は10数年前に脳梗塞を患っており、少し不安はあります。たまにちょっと動けなくなる事があり、今は一時的で済んでいるけど、いつか当たり前になってもおかしくない。
そんな訳で体は覚束無いものの、頭はダメージを受けた割にはしっかりとしており、昔の人間らしく頑固で、自分は元気だと信じて疑っていないからたちが悪い。
認知症で言えば母の方が心配です。
そうなると、ことこさんのようになってしまうのだろうか。

現実に、この本と同じシチュエーションが私の身の回りにリアルに起きたのです。
それは今年の夏。
夕御飯を食べた後寛いでいると、母の仲の良い友人のお孫さんが、「ばあちゃんがいなくなった」と探しに来たのです。家にたまに遊びに来てたので、もしやと思って訪ねてきたらしい。
いつもはお嫁さんが面倒を見ているのですが、たまたま用事で家を空けていて、お孫さん二人が交替でおばあちゃんを見ていたのですが、ちょっとしたすきに、家を出て居なくなったと言って、家にやって来たのです。

心配した母が探しに行くと言ったので、一人では心配だから私も付き添いましたが、とてもじゃないけど探しきれず、更におばあちゃんの娘さんも来て、皆でどうしよう…と途方に暮れ、あと30分探して見つからなかったら警察に連絡しようと相談した矢先に、ある方から家に、おばあちゃんを迎えに来て欲しいと電話があったそうです。
このおばあちゃんは、軽い認知症で、まさにことこさんと同じような症状だったのです。
それで、家族の人が住所や電話番号を書いたメモを書いたものを持たせてあって、事なきを得ました。

ことこさんは電車に乗って遠くの駅まで行ってしまいましたが、おばあちゃんは歩いて2キロ程先の町まで行ってました。もう他人事ではなく、リアルに認知症の怖さを感じました。
本人はケロッとしてたようですがこれって、家族にはたまったもんじゃないですよね。
運良く見つかったし、親切な方が保護してくれたから良かったけど、もし途中でどこかに転落したり、車に轢かれたり、或いは変な人に騙されたりしたらそれでは済みませんから。
娘さんやお嫁さんはしきりに恐縮してましたが、これは決して他人事ではないな、とその時に思いました。我が家では、いや、高齢者のいる家ならどこでもあり得る。

ことこさんは最終的に自分の意思で施設に入るのですが、それは娘のためを思って…というのが泣けました。
いつも周りに迷惑をかけないように、一人で頑張って、それ故イライラしてつい周りに当たってしまう娘。
そして、何よりも好きな仕事を犠牲にしてまで自分の世話をしてくれているのが申し訳ない。
認知症であっても、娘や家族を思いやる気持ち。
そこは母親なんだな、って。
そして娘はいくつになっても娘なんだなって。
果たして私は、こーこさんのようにちゃんと親の介護のお世話が出来るのでしょうか??

ことこさんとこーこさんの他にも、こーこさんの弟家族や、父親(途中で亡くなる)、あと友人や近所の人など様々な登場人物がいるので、それぞれの立場で照らし合わせて読むのもいいかもしれません。

なので、これから介護をしなくてはならない人に、もちろん介護中の方にも、辛いとは思うけど、読んで欲しいです。これを読んで、「一人で抱え込まないで、頑張りすぎなくていいんだよ」って言ってあげたい。そして、施設に入れることは決して親に対して申し訳ないと思わないで欲しいと。
共倒れだけは避けたいですからね。

こーこさんの場合は、お友達や周りの人がが支えてくれました。
あと、弟家族は一見関わってないようですが、実はお嫁さんはちゃんと考えていてくれてたのです。
お嫁さんは、頑張りすぎるこーこさんに遠慮して何も出来なかっただけでした。
今は嫁はほとんど介護しない(してほしくない)ようですが、今は親の方が遠慮しているのかもしれません。
そう言われてみれば確かに、周りを見ていると、ほとんど実の子供たちが介護や手続きなどをしていますね。

私には子供がいないし、兄弟にもいないので、はっきり言って介護の手前で亡くなりたいです。
何回も言ってるけど、もうあと数年でいい。
でもここまで来たら、親よりは早く死ねないかな。
親を最期まで見届けることが、最後の親孝行になると思うので。
一体あと何年生きればいいのだろう…。